第2回 失敗しない海外進出

海外進出の具体的な手順

海外進出に対する3つの壁、「言葉の問題」「対象国の問題」「予算の問題」はいずれも心理的な要因が主体でした。分かってしまえば、惑わされることはありません。この回では、具体的になにをすればよいのかを順を追ってお話いたします。

 

取引につながらない失敗

顧客(海外企業や、海外のお客様)とうまくコミュニケーションをとる事ができなかったり、 仕事の準備不足等といった理由で、顧客に不信感を抱かれてしまい、 ①取引につながらなかった、 ②継続した取引ができなかった というケースが多々あります。
これはどういう事かと言いますと、

  • 製品やサービスについて十分な理解をしてもらえない
  • 製品の品質表示が不十分であった
  • 取引条件が不明瞭

たいていの場合、いずれかに当てはまります。※全部といったケースも当然あります。 以下、簡単に解説していきますね。

製品やサービスについて十分な理解をしてもらえない

製品資料の準備を疎かにしてしまうと、あなたの提供する製品についてあまり理解してもらえない事があります。 そもそも、日本の製品は他のアジア諸国と比較すると、高額なケースがほとんどですから、その価格差の理由をきちんと説明する必要があるのです。 ここで品質のよさをきちんとアピールできないと「何だかよく分らないけれど、高いんだな」という印象を与えるだけで終わってしまう事になるのです。

製品の品質表示が不十分であった

日本と海外では、取引にあたって必要な情報が異なるケースが多々あります。 こういった準備が若干面倒と感じるかもしれませんが、グローバルスタンダードにしたがった製品情報を提示し、海外顧客の信頼感を獲得する事が非常に重要なのです。

取引条件が不明瞭

日本国内への出荷と違って、海外への出荷は複雑です。 卸値や最小ロットは?決済条件は?納期は?出荷方法は?等々、事前に検討しなければならない事がたくさんあります。 取引条件をきちんと提示できないと、相手のペースで商談が進んでしまったり、後々、トラブルになったら面倒ですから、ここもきちんと抑えておくべきポイントです。

 

リスクの過小評価

あまり慣れていない海外との取引にはリスクがつきもので、

  • 想定外の費用がかかってしまう
  • 詐欺にあってしまった
  • 発送後に想定外のトラブルが起こった。

といったリスクが付きまとう事になります。 とはいえ、あまりリスクに過敏になりすぎても困りものですね。 警戒するのは良い事ですが、海外取引のリスクは事前準備や注意によって回避できます。

想定外の費用がかかってしまう

海外進出はポイントを押さえておかないと、想定外の費用が出ていく事になります。 例えば、海外での展示会出展等が代表的ですね。海外の展示会は、出店費用がかなり掛かります。まあ、数百万の費用は覚悟した方が良いです。

出展したからといって、必ずしも取引先が見つかる訳ではありません。この辺りの事は、 今回の動画で詳しくお話ししておりますが、事前準備もなく出店してしまうと、無駄な費用ばかりが出ていく事になります。

詐欺にあってしまった!

よく知らない相手と後払い条件で取引してしまい、詐欺に遭うケースがあります。 このようなケースはあまり表立って出てこないですが、結構な件数があるのです。

決済条件を必ず明らかにし、前払いか信用状取引を徹底しなければなりません。

発送後に想定外のトラブルが起こった。

  • 消費者が自社製品でケガをした
  • 輸送中に製品が壊れた
  • 返品したいと言われた

等々、 代金を回収し、商品を発送したからといって、安心しきってはいけません。 商品を発送した後にもトラブルのネタは潜んでいるのです。 話し合いで済めば良いですが、折り合いがつかないと告訴されるケースもあります。

こうしたトラブルを回避するには、事前にあらゆるトラブルを想定し、全て契約書に明記しておくことで、トラブルを回避する事ができるのです。 国内に比べ、リスクの大きい海外進出ですが、得られる果実は非常に大きいのも海外進出です。

また、リスクはある程度コントロールできますので、“事前準備をきちんとしておく”という事が非常に重要なポイントとなるのです。